デザインセンス

デザインや音楽の仕事をやっていると、有り難く嬉しいことでもあるけど「センスあっていいね〜」や「才能あるね〜」などと言ってもらえる事があります。しかし、仕事の成果物に対し、それだけで判断されるのはどうも腑に落ちないのも正直なところです。

僕なり創意工夫しているにも関わらず、たいした努力や苦労もせず、先天的な能力だけで仕事をこなせているようなニアンスが、そこに含まれているように感じてしまいます・・・

そもそも自分に生まれつきクリエイティブの才能があったとは思っていません。ただ、興味あることはとことん追求し、たとえ誰かの教えや、本に書かれているような事でも、自分の肌で感じるまで納得できない性格だったため、能力を体得できる環境は無意識に築いてこれたのかもしれない、と自己分析しています。

また、良くも悪くも僕はかなりの“凝り性”でもあり、クリエイティブにおいてとても大切な要素である「客観性」を見失うことも度々。特に若い頃は本当にひどかった・・・しかし、坂本龍馬の生き様に衝撃を受け、社会や物の見方、考え方、人生の価値観まで大きく変わったことで、徐々にではありますが、広い視野で客観的に制作に取り組めるようになってきたと思います。

最後に、「フェラーリ・エンツォ」や「新幹線スーパーこまち」などを手がけてきた有名な工業デザイナー奥山清行さん著書『100年の価値をデザインする』の本から、とても共感した一文をご紹介します。

「かけっこが速い、手先が器用、記憶力が優秀というのと同時に、人間には持って生まれたクリエイティブな能力があると思い込んでいる人は意外に多い。だが、断言しておく。先天的にクリエイティブな能力の差など、ほとんどない。
クリエイティブなことを可能にするのは、後天的なセンスと、経験から得たスキルである。そのための道具の使い方をマスターし、自由に使いこなし、世の中を大局的に捉えるマクロな視点と、課題の細部までを理解するミクロな視点を併せ持つ。そういう人が提案するアイデアが、時としてクリエイティブであると評価されるだけのことだ。」

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